2026年後半読書日記
【2026 年後半】 ◎2026年7月30日『ハムレット』シェークスピア ◎2026年7月24日『死の泉』皆川博子 ◎2026年7月18日『トパーズ』(映画) ◎2026年7月18日『少年十字軍』皆川博子 ◎2026年7月14日『歴史学は世界を変えることができるか』松沢裕作 ◎2026年7月13日『荒野のストレンジャー』(映画) ◎2026年7月9日『分断80年』徐台教 ◎2026年7月7日『スリー・キングス』(映画) ◎2026年7月5日『マーニー』(映画) ◎2026年7月4日『たったひとつの雪のかけら』ウン・ヒギョン ◎2026年7月30日『ハムレット』シェークスピア ☆☆☆☆ 名台詞の数々を「野村萬斎監修」で 「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」To be, or not to be, that is the question. このハムレットの台詞はあまりに有名だが、意外にも本書の解説にずらりと紹介してある過去の翻訳ではこの訳文は用いられていない。 例えば、福田恆存訳は、 「生か、死か、それが疑問だ。」 私が昔読んだ小田島雄志訳は、 「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ。」 渡邊守章訳は、 「このまま生きる、それとも死ぬ、問題はそこだ」 というように、各翻訳家の解釈と個性を反映した訳文が採用されているが、本書では舞台上演にもっとも馴染むこの台詞を初めて採用したという。 台詞の意味は理性に従って生きるか激情に従って死ぬかということなのだが、これが優柔不断と解釈されたのは19世紀のロマン主義文学の影響だと著者はいう。 実際、改めて読むとハムレットは優柔不断ではなく、強固な意思で復讐を実行しようとしている。 この台詞以外にも「弱き者、汝の名は女」などの名台詞が多数散りばめられているのは、さすが古典中の古典である。 また、先王の亡霊を悪魔かどうか疑う場面は宗教改革で煉獄が否定されたのを踏まえているとの指摘や、王妃ガートルードが王権の保持者であり王とハムレットの争いの鍵を握っているとの指摘も興味深かった。 訳者の河合氏は野村萬斎氏の舞台上演のために翻訳を依頼されたとのことで、萬斎氏が訳文を細かくチェックして監訳のようになったという。 なお、改版では訳註が大幅に加えられ、版の異同などが詳しく触れてあ...