2026年前半読書日記
【2026 年前半】 ◎2026年2月10日『江戸の刑事司法』和仁かや ◎2026年2月6日『中高年シングル女性』和田靜香 ◎2026年2月4日『過去と思索(七)』ゲルツェン ◎2026年1月28日『ルポ 過労シニア』若月澪子 ◎2026年1月27日『アフリカから来たランナーたち』泉秀一 ◎2026年1月23日『戸籍の日本史』遠藤正敬 ◎2026年1月20日『過去と思索(六)』ゲルツェン ◎2026年1月11日『西部戦線異状なし』(映画) ◎2026年1月6日『怪物』(映画) ◎2026年1月4日『ジュラシック・ワールド/復活の大地』(映画) ◎2026年1月3日『統一後のドイツ』シュテッフェン・マウ ◎2026年1月1日『ファミリー・ツリー』(映画) ◎2026年1月1日『いまを生きる』(映画) ◎2026年1月1日『やさしい本泥棒』(映画) ◎2026年2月10日『江戸の刑事司法』和仁かや ☆☆☆☆「御白洲」の裁きを量刑を中心に見直す。手続は職権主義だが 著者は近世法制史研究者だそうだが、「はじめに」と「あとがき」で書かれているように、近時の司法制度改革で裁判員裁判が導入された際に、江戸時代の刑罰がマイナスイメージで引用されたことへの不満が本書の背景にある。 確かに、テレビの時代劇を見ていると、過酷な拷問や磔・獄門の残虐な刑罰が頻繁に登場する。司法改革で引用されたのもあの一般的なイメージだろう。 しかし、本書によると、拷問は制度はあったがあまり用いられておらず(許可が必要だったとのこと)、死罪になるような重罪事件は老中の裁可が求められたという。老中は事件の審理を評定所(寺社奉行、町奉行及び勘定奉行の三奉行と目付・大目付で構成)に付し、その意見を聞いて裁可する。本書に紹介されているような、凶悪事件ともいえない市井の窃盗や密通事件まで老中に裁可が求められて裁判記録に残っていることにまず驚く。しかも、本書の第1例目の「甚吉一件」は幕府領の大津の代官が江戸の老中に伺いを立てた事件である。 このように、時代劇では大岡越前や遠山の金さんが鶴の一声で御白洲の裁きを下しているようでも、実際はかなり慎重に審理していたことがわかる。その典拠となる法源は8代将軍吉宗の時代につくられた成文法である「公事方御定書」と判例集である「御仕置例...