2026年前半読書日記
【2026 年前半】 ◎2026年2月21日『歴史は“強者ファースト”か?』板垣竜太ほか編 ◎2026年2月19日『今は何時ですか?』丸谷才一 ◎2026年2月17日『戦争の美術史』宮下規久朗 ◎2026年2月10日『江戸の刑事司法』和仁かや ◎2026年2月6日『中高年シングル女性』和田靜香 ◎2026年2月4日『過去と思索(七)』ゲルツェン ◎2026年1月28日『ルポ 過労シニア』若月澪子 ◎2026年1月27日『アフリカから来たランナーたち』泉秀一 ◎2026年1月23日『戸籍の日本史』遠藤正敬 ◎2026年1月20日『過去と思索(六)』ゲルツェン ◎2026年1月11日『西部戦線異状なし』(映画) ◎2026年1月6日『怪物』(映画) ◎2026年1月4日『ジュラシック・ワールド/復活の大地』(映画) ◎2026年1月3日『統一後のドイツ』シュテッフェン・マウ ◎2026年1月1日『ファミリー・ツリー』(映画) ◎2026年1月1日『いまを生きる』(映画) ◎2026年1月1日『やさしい本泥棒』(映画) ◎2026年2月21日『歴史は“強者ファースト”か?』板垣竜太ほか編 ☆☆☆☆☆「歴史否定論」-見たいものしか見ない人たちをどう説得するか 日本軍「慰安婦」問題専門サイト Fight for Justice (FFJ)が企画した連続講座に基づくブックレットである。著者のうち、この分野の第一人者である吉見義明氏以外は中堅・若手の歴史研究者であろうか。 まず注目されるのは、「歴史否定論」という言葉である。欧米では「歴史修正主義」と「歴史否定論」を区別するという。ナチスによるユダヤ人虐殺やガス室はなかったとする議論は「歴史否定論」であり、他方、第 2 次世界大戦やベトナム戦争は正義の戦争という歴史観に対する帝国主義的侵略や殺戮といった批判は「歴史修正主義」とされる。都市空爆や原爆投下に対する批判は後者に属する。前者は事実に反するデマであり、後者はより正確な歴史認識や人道的観点からの修正ということだろう。日本の「慰安婦」問題に関する様々な否定的言説や南京大虐殺否定論などは、もちろん前者に属する。 本書では慰安婦問題などの歴史否定論に対して根拠を挙げて反論するのではなく、歴史否定論がヘイトにつながること...