2026年後半読書日記
【2026 年後半】 ◎2026年7月9日『分断80年』徐台教 ◎2026年7月7日『スリー・キングス』(映画) ◎2026年7月5日『マーニー』(映画) ◎2026年7月4日『たったひとつの雪のかけら』ウン・ヒギョン ◎ 2026 年 7 月 9 日『分断 80 年』徐台教 ☆☆☆☆☆「南北統一」から「朝韓平和共存」へ すぐ隣の国である韓国の現代史について日本の歴史教育ではほとんど学ばない。ニュースや韓流ドラマで断片的知識はあっても、尹錫悦前大統領が突如戒厳令を布告し、それが議会と国民の機敏な決起で数時間で阻止された劇的な展開について、驚き呆れるばかりで歴史的背景を考えようとしない人がほとんどではないか。 本書はまさにこの戒厳令布告事件から説き起こし、「分断 80 年」という視点から韓国現代史を鳥瞰させてくれる。 知られていないことのまず第1は、日本の植民地支配が終了した 1945 年 8 月から韓国政府樹立に至る 1948 年 8 月までの「開放空間」と呼ばれる時期である。 この時期、朝鮮半島は米ソ分割統治が行われたが、朝鮮の人々は将来分断国家になるとは思わなかった。そうした中で呂運亨らが建国準備委員会を立ち上げ、その下で若き金大中も働いていた。ところが、モスクワ協定で信託統治案が公表されるやその反対世論が広がり、それが「反ソ連・反共産主義」へと向かった(著者は信託統治後の独立保障という内容を無視した宣伝が行われたという)。このとき冷静な議論を呼びかけた東亜日報社長、その後も南北統一をめざして活動した呂運亨ほか中心人物が次々と暗殺され、南北独自政府樹立の動きが加速したという。 第2は朝鮮戦争の影響の大きさである。日本の教科書では「朝鮮特需」程度しか注目されないが、朝鮮半島全土で地上戦が闘われ、犠牲者は南北合わせて 300 万人~ 400 万人とも言われる。これは第 2 次大戦の日本の軍民合わせた死者数を上回る。しかも、戦線が南北に移動したため、北の人民軍と韓国の軍警による反対派虐殺が横行し、その数は 20 万から 30 万人に上るという。この殺戮が南北の「国家誕生の秘密」であり、反米・反共の互いのアイデンティティーとなったとされる(「敵対的共存」)。 なお、朝鮮戦争に中国が「義勇軍」の名目で...