2026年前半読書日記
【2026 年前半】 ◎2026年2月22日『翻刻 世界 創刊号: 昭和二十一年一月号』 ◎2026年2月21日『歴史は“強者ファースト”か?』板垣竜太ほか編 ◎2026年2月19日『今は何時ですか?』丸谷才一 ◎2026年2月17日『戦争の美術史』宮下規久朗 ◎2026年2月10日『江戸の刑事司法』和仁かや ◎2026年2月6日『中高年シングル女性』和田靜香 ◎2026年2月4日『過去と思索(七)』ゲルツェン ◎2026年1月28日『ルポ 過労シニア』若月澪子 ◎2026年1月27日『アフリカから来たランナーたち』泉秀一 ◎2026年1月23日『戸籍の日本史』遠藤正敬 ◎2026年1月20日『過去と思索(六)』ゲルツェン ◎2026年1月11日『西部戦線異状なし』(映画) ◎2026年1月6日『怪物』(映画) ◎2026年1月4日『ジュラシック・ワールド/復活の大地』(映画) ◎2026年1月3日『統一後のドイツ』シュテッフェン・マウ ◎2026年1月1日『ファミリー・ツリー』(映画) ◎2026年1月1日『いまを生きる』(映画) ◎2026年1月1日『やさしい本泥棒』(映画) ◎ 2026 年 2 月 22 日『翻刻 世界 創刊号 : 昭和二十一年一月号』 ☆☆☆戦中派文化人たちの無残・無恥を記録 『世界』創刊 80 年を記念して創刊号を翻刻したものだが、電子版はプリントレプリカ版でなく通常の電子書籍なので読みやすい。 しかし、「我国有史以来未曽有の屈辱的降服」、「我が国民は今こそ現実に立って真理を仰ぎ、新たな発足をせねばならなくなった」という発刊の辞にもかかわらず、論考を寄せた当代一流の文化人たちの無反省、傍観者的高言、能天気とさえいえる楽天さはどうだろうか。 昨年復刻されたフランス文学者渡辺一夫氏の『敗戦日記』(*レビュー済み)には、特高警察の目を逃れてフランス語で痛切な自省を伴う時局批判が書き連ねられていたが、本書に登場する時局に(不本意ながらも?)迎合していた文化人たちの論考は無残・無恥というほかない。 これが「戦後日本の初心」などと言えたものではない。 例えば、編集長の安倍能成(哲学者)は、もっぱら国民道徳の低下を嘆き利己主義を戒めるだけだし、美濃部達吉と和辻哲郎は、それぞれ法学と哲学...